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2016~2017作曲活動総括セルフライナーノーツ(そして休止)

time 2018/01/02

■■活動について
2016年9月、私は合成音声でオリジナル曲を発表してゆこうと思い立ち、1年ちょっとで11曲を制作しました。気持ちとしてはもっと続けたかったのですが、外部的な事情によりやむをえず、2017年10月から曲を作っていません。活動は休止とします。
以下、せっかくなので解説っぽいことを書いてみます。

■なぜCeVIOを選んだのか
Vocaloidも以前から所有(初音ミクとKAITO)していたのですが、ある時CeVIOの体験版をインストールしてみて、これは歌としてクオリティ高いぞ、と、すぐに正式購入しました。そして人間相手に曲を書いていた時期、デモ音源の仮歌に使っていました。

■活動開始にあたってなぜ黄咲愛里を中心に据えたのか
他のPさんの作品をいろいろ聴いてみて、黄咲愛里の声質が一番いいなと思いました。さとうささらは個人的には、ちょっと無機質な感じのような気がします。
知名度が無さすぎますが、とにかく声の良さ優先でした。

■作詞作曲の際心掛けたこと
「心に引っ掛かりを残す作詞」と「聴きやすいのに適度に複雑な作曲」を両立することは非常に難しく、プロでもたいていは片方に寄ってしまっていると思います。できているのは、有名どころではスガシカオ氏くらいではないかと。私もできる限りその境地に近づこうとしながら作品を書いています。(ちなみに、必ず詞が先です)
ほかにコダワリとしては、ラブソングの割合をあまり高くせず、もっと広い人間の悩み事のようなものをテーマにすること。結果、若者よりも30歳前後あたりに照準が当たっている感が出ているかもしれません。
あとは、外国語を安易に使わない。「ルーレット」と「ダイス」はどうしても使いたくて書いちゃいましたが。
音域は、人間が出しやすい範囲で。(ちゃんとトレーニングしていれば楽勝、ぐらいのところ)
曲順も実は、明るい曲と暗い曲ができるだけ連続しないようにしていました。

■■作品セルフライナーノーツ

■「フミダシテ」2016/09/13 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
ニコニコ動画界隈でどんなものがウケるのか全然わからず、とにかくなんでもいいから書こうとしたら、何故かあまり経験のないRock調に。
9月アタマに書き始めたので、2週間以下で出来てますね。
歌詞は励まし系。自分もこの時落ち込んでいたので、自身へも向けて。
音楽理論的にはAメロBメロが結構うまくいったなと。あと『フミダシテ』の部分は6度和音のシャープファイブにいっているので、予め知識がないとあまり思いつかない音かも。
ここでストリングスを使ったので、しばらくストリングス禁止を自分に課しました。(結果的に、10曲目で使うことになりましたね)
調声の腕前は1年間ほとんど変わっていないような。とにかく人間っぽさを求めて頑張っていました。

■「神のルーレット」2016/09/26 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
続けて、重め暗めのRock。明らかに某男性アーティストの影響を受けてますが、女性ヴォーカルなのでこれはこれで価値はあるのではないかと。
また2週間以下で完成しています。
『人生良いことも悪いこともあってプラマイゼロ』とかいう人もいるけれど、『マイナスの方が多いよ』と考える人もかなり多いんじゃないか、と思いながら書きました。
VIm→IV→I→Vのコード進行はJoan Osborneの「One of Us」を聴いて、すごく『神』という言葉が似合う響きだとかねてから思っていて、それで使ってみました。サビの後半部分でその感じが出てるかなと。
ベースラインはスライドを多用。元々私はロックバンドでBassを弾いていてこういうスタイルだったので、打ち込みで再現しています。全曲中、大部分はスライド系ベースです。

■「時を越える想い」2016/10/14 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
ラブソングは少なくすると決めていたわけですが、一つだけ究極的なものを書いておこうと思いました。
ここまで2週間間隔。やる気に満ち溢れてますね。
日本には、『走馬燈』という概念がありますけれども。死ぬ間際に、一瞬で様々な場面が早送りで浮かぶと言われるアレです。そこに、もし昔の恋人が登場するとしたら誰になるか。最初の相手でも、最後の相手でもなく、最も激しい印象を残した恋人ではないか。と考えて作りました。
曲は、メジャーキーながらセンチメンタルなピアノバラード。ストリングスは我慢して使わず。Bメロ後半の部分転調がうまくできたかな。細かいところでは、スネアの音が好き。
11曲やっている中で、MVは全く統一感がないわけですが。この作品はちょうど秋でしたし、急に思い立って森へ行きました。単純に、歌詞を白い板に印刷して撮っていっただけ。カメラが古いiPhone4Sなので、盛大に手ブレした元データを、後から補正しています。そのせいでちょっとグニャグニャして不思議な映像ですね。

■「踊り明かそう夜(YO)」2016/11/14 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
1ヵ月空きました。ちょっと休憩しただけで、制作の正味の時間はいつも通りでした。
さとうささらにはトーク機能があるので、それでRapを作れないかなという発想。元々プライベートではHipHopばっかり聴いていたりするので、ライムは意気込んで考えました。特にフィメールラッパーっぽさは意識せず、男性がカヴァーしても違和感はないと思います。
ラップ部分で韻を踏むのは当たり前ですが、メロディ部分まで踏むのはLITTLE氏の「Beach Sun Girl feat.Una」に対抗してみたもの。
パーティーソングではありますが、『眠れない夜』というところがポイントで、主人公は深く悩んでいるわけです。それを踊って忘れようよ、という趣旨。だから微妙に言葉のセレクトは暗いんです。
ベースラインはディスコクラシック「Ain’t No Stoppin’ Us Now」のものがあまりに素晴らしくて昔から好きで、なんとか近づこうと思ったのですが、まだまだ修行が足りませんな。

■「虚像感情」2016/11/30 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
一番人気。リスナーさん達の反応が大違いでした。実は作った本人としては、あまり気合いも入れずサックリとできてしまったものなのです。
学校や会社で、自分の気持ちを抑え込む場面ばかりの現代社会、というテーマ。10代・20代にも広く共感を得られたのかもしれません。
構成は実は参考にした元ネタがあって、ある有名ボカロ曲なのです。でも全体的には似ずに済んだので判らないと思います。ポップめに始まって、転調を頑張って、最後にややSwingのRockで畳みかけようかな、という感じ。
CeVIOエディタが純粋な3連符しか受け付けてくれないせいで、調声は少ーし手間でした。(ボカロエディタだとその点に関しては楽)

■「ふたりの点滅」2016/12/25 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
制作時期がちょうど12月に差し掛かったので、クリスマスソングでも作ろうかなと。しかし予想外に難航して、25日までかかってしまいました。
ニコ動ではあまり人気がないんですが、なぜかYouTubeでの再生数&滞在率が妙に良いです。
ケンカばかりしているカップルが、年末年始のイルミネーションや星空でちょっとだけ和む、というストーリー。出だしからいきなり『罵りあい』という不穏さが気に入ってます。タイトルはダブルミーニング。
山下達郎の「BOMBER」とか「メリー・ゴー・ラウンド」とか、角松敏生のファンク/フュージョン路線の曲とか、その辺が大好きなんですが、演奏は格好良いのに、『サビでパーッと高揚感が来る』ものが皆無であることに不満があったんですよね。ならば自分はそれをやってやろう、という結果です。
音楽理論的にも一番凝った作品でしょう。あと楽器では、ファンキーなギターのソフトをこのために新しく買いました。

■「セカイへの伝言」2017/03/29 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
2017年初頭に大きく体調を崩してしまい、2ヵ月ほど何もできませんでした。その後なんとか復活して、4月を狙って桜ソングを作ろうかなとも思ったのですが、ちょっとカンが戻らないので、まずは軽い曲を挟もうと。
ざっくり言って、二番目に人気。エグいところもないし万人受けするんでしょう。
しかし結構何言ってるかよくわかんない歌詞です。大切な人達との繋がりが薄れていく感じ。あとはメールやチャットなどの通信系のイメージ。
『サビのアタマが一発で忘れられなくなる』を目標に作曲しました。ビューッという言葉選びも含め、ですね。
実は各ブロックの出だしはマイナーキーなんですが、妙に明るく聴こえるのがちょっとした工夫。
一応アルペジオをしっかり使うという縛りは設けたものの、サウンド的にはちょっとマンネリかな。

■「花の降る」2017/04/17 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
2週間ペースに無事戻りました。桜ソングです。
花が散るさまと、感情が消えてゆくことを重ねてみました。百人一首から3つほどネタを拾っていますね。どれくらい古い言い回しを使うか悩んだ末、軽めに仕上がりました。
世の『和風曲』って、土台はRockのドラムやエレキギターで、味付けで琴乗せてみました、みたいなものが多いよな、と思い、意地でも全部の楽器をエスニックにしてやろうと挑戦。
普通の曲だと2種類のギターを左右に振るように、三味線と琴を左右に。打楽器は和太鼓など。ベースだけは適切な楽器が思い付かず、なんだかよくわからない音。
元々EDMノリにしてみたくて三味線を裏打ちにしたんですが、結局ダンスものっぽくならず、Aメロはうっすらレゲエ、サビはうっすらスカみたい。
メロディ的には、少しスケールに気を使いつつ、コード進行はポップスと同様に。イントロは冗談みたいなもんです。

■「無限なる漂流」2017/07/31 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
春に2曲作れたと思ったら、まさかの体調再転落。5月6月はダウン。でも真夏は毎年調子が良いんです。
今度はちょっと洋楽の影響受けたものでも作ろうかなと。ベタですがTimbalandとか大好きですから。
歌詞は、研ぎ澄まされた孤独、という感じ。
『ダサいとされるコード進行でもメロディの乗せようはあるのではないか』と洋楽を聴いていて思ったので、自分としては少し新しい音使いで作曲しました。

■「希望描く色彩」2017/08/27 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
『オリコンに入りそうな曲』を目指したものの、ちょっと歌詞がイビツかも。
エグいAメロBメロと爽やかなサビの落差がすごい。『正義感振りかざした奴らが』というところは体験からの実感。人間というのは、自分が正しいと思っているときに一番自分を見失うんですね。
曲はトニックから入りながらもちょこっと捻りました。
この作品で初めて、黄咲愛里から外れて赤咲湊くんを使用。セルフカヴァーできるキーにしたかったというだけの理由です(結局歌ってみていませんが)。事前に使ってみることもなく、『たぶん性能がいいだろう』と楽観してとっとと作詞作曲してしまいました。それでいざ調声してみたら、想像以上に、すごく人間っぽい。発表後も『びっくりした』という声ばかり聞こえてきました。

■「あふれたなとす」2017/10/09 [歌詞][ニコニコ動画][YouTube]
1月に体調を崩したころから、いつか『メンヘラのアンセム』を作ろうと思っていました。私自身が、昔からリスカもしてるし毎日精神科の薬を飲んでいる、ガチのメンヘラであります。なので普段考えていることを自然に書いただけです。でもやっぱり多くの人はドン引きだったのかも。
短め、3分ジャスト近辺に濃密に詰め込もうと決めて制作。間奏ナシで2番のAメロをポエットリーに。韻をガッチリ踏んでいるので限りなくラップに近いんですが、抑揚を少し言葉に寄せているのが違いです。
16beatをビッチリ刻むRock。出だしのVImadd9→VIIm7-5というのは最も『薄暗い』コード進行のひとつだと思っていますね。3番は実はAセクションのメロディをBセクションのコードに乗せるというギミックがあります。できてから振り返ると、メロディがヨナ抜きの部分が多く、ちょっと演歌っぽかったですね。

■■そんなこんなで
文字数多っ!(これでも削ったんですよ……)
ともあれ、可愛い作品達ですので、たまに聴き返してやってください。
泥須平弥がお送りしました。

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